生きづらくてしんどい人向け小説3選

オススメ本紹介

「なんとなく生きづらいと感じるけど原因がわからない」
「生きづらい人のことがわからない」

生きづらさを感じている人や、そうでない人も「生きづらさ」の原因や感じてしまう理由がわからない人がいるのではないでしょうか?

本記事では、生きづらさの背景、生きづらくともやっていける術を知ることのできる小説を紹介します

※ネタバレしたくない方は、目次を見てから読むかどうかご検討ください

『生きるぼくら』 (原田マハ)

いじめ不登校引きこもりにまつわる生きづらさを扱った小説です

ー簡単なあらすじー

主人公は、いじめが原因で不登校になり、職場でも大事にされず、引きこもりになってしまう
ある出来事により、数年ぶりに外に出ることになり、昔大好きだった長野県のおばあちゃん家に向かう
そこから、主人公は生きている実感を取り戻していく

いじめ、ひきこもり、死別、対人恐怖、天涯孤独…

色々な事情で孤独になった3人が寄り集まって生きる、「家族じゃないけど”家族”」の物語

変わっちゃだめなわけがない.
むしろ、おれらは、どんどん変わっていかなくちゃならないんだ.
この稲のように、空に向かって伸びて、花を咲かせ、実を結ぶ.
季節とともに変わり、成長していけるはずなんだ.
(原田マハ (2015)『生きるぼくら』, 徳間文庫)

人や社会との関わりが怖くなってしまっても、大事に想い合える人がいれば、少しづつでも進んでいけると思わせてくれる作品です

『やさしい大人』 (桐野夏生)

貧困、社会の福祉システム支援/被支援にまつわる生きづらさや課題を扱った作品です

ー簡単なあらすじー

主人公は路上で逞しく生きるストリートチルドレン
ストリートチルドレンの支援団体や路上生活者の自助組織の「大人」から差し伸べられる「優しさ」がわからなかった
アンダーグラウンドという組織を探り、派閥同士の争いに巻き込まれていく中で、
変わらず手を差し伸べてくれる「大人」の優しさに気づくが…

近未来を舞台にしてはいるものの、現代の路上生活者や低所得者層への視線不登校や児童虐待などの「子どもの権利条約」に即しているとは言い難い支援体制が描かれています

加えて、支援/被支援といった関係性の問題子どもの大人に対する不信感も描かれており、支援される側は支援者のもどかしさを、支援する側は支援の在り方を考え直せる内容にもなっています

『52Hzのクジラたち』 (町田そのこ)

アダルトチルドレン家族の呪縛に関連する生きづらさを扱っています

ー簡単なあらすじー

主人公は、家族からの虐待、愛する人、恩人を失い、全てをリセットしたくて祖母ゆかりの土地にやってきた
そこで、過去の自分と同じように、家族に虐げられている少年と出会い、少年を救おうと決心する
少年と関わる中で、主人公自身も自らの想いに向き合っていく

傷ついたからこそ、傷ついている人の気持ちをわかろうとできるし、寄り添うことができるのだから、生きづらさも捨てたもんじゃないのかなと思えます

特に、支援する側の主人公が少年に救われているのがポイントです


主人公は、家族の呪縛により家族に似た人間関係を築き大切な人を2人も失ったことに苦しんでいました
しかし、助けたい存在・少年を支援することにより、今まで救われなかった自分の傷つきを癒しているんですね

自分の傷つきと向き合い、他者と接することを諦めなければ、人生が自らにかけられた呪いを解く旅となり、他者も自分も癒すことができることを教えてくれる作品です

物語で生きづらさをほどこう

困難を超えている様子

扱う題材が重めの作品が多かったですが、背景にある問題、込められたメッセージは深く染みわたる3作品です

小説は、ルポや新書よりもハードルが低いので、背景や社会問題を理解する際の入り口としてもオススメです

皆で生きづらさへの理解を深め、息苦しさを解きほぐしていきましょう

では、また